スマートな物を押し付けると、人間が本来得るべき体験が失われる。 - スマートAI名刺「Supawave」
July 18, 2025

スマートな物を押し付けると、人間が本来得るべき体験が失われる。

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著者:夏目力

民藝運動の主唱者として知られる思想家の柳宗悦氏は、「新幹線ができたら、移動が早くなりすぎて、窓から地域の風景や人々の暮らしが見えなくなるだろう」と言いました。

また、世界的な投資家として知られるウォーレン・バフェットも「スマートフォンは自分には“スマート過ぎる”から必要ない」と言って、長年、ガラケーを愛用していたことは良く知られています。

スマートシティ、スマートホーム、スマート家電、スマート支払いなど、テクノロジーの発展によって、世の中にはスマートという言葉が溢れかえっている。

↑「スマート」は本来得るべき体験までも奪っていく。

「スマート」であることの条件として、「労力がかからないこと」や「早く結果が得られること」などがあげられます。

しかし、スマートなことの押し付けに慣れてしまうと、様々な手間を通じて、人間が本来得るべき体験が根こそぎ失われてしまう。(1)

スマートなものを取り入れる際には、私たちは明確な意図を持たなければならず、本来、手間を通じて得られるはずであった人間の努力、創造性、生産性、目的、意味、そして、達成感などを奪うものであってはならないのだろう。

むしろ、スマートなものを取り入れることによって、こういったものを増幅させていかなければならない。

何かを成し遂げたことがある人であれば、当然分かることですが、本当に価値のあることは、効率の悪いプロセスを通じてしか獲得できません。

↑本当に価値のあることは、効率の悪いプロセスからしか生まれない。

スマートなものをいち早く取り入れ、競争に勝とうとするよりも、自分を律することで、周りと距離をとりながら、新しい意味を生み出していく方が何倍も難しい。

電車に乗る時間が増えたら、運動する時間を増やす、SNSやオンラインMTGの時間が増えたら、地域や近所の集まりに参加してみるなど、一つスマートなものを導入したら、アナログや不便なものを一つ増やすくらいの意識でいないと、人間が本来体験すべきものがどんどん失われていってしまいます。

AI時代は、どれだけスマートに生きるかよりも、面白さやキャラクターが重視され、非合理な部分にこそ個性が宿る。

スマートの押し付けによって、人間が本来得るべき体験を失わせてはならない。

Note

1.森下彰大「戦略的暇」飛鳥新社、2025年

参考書籍

◾️石田 健「カウンターエリート」文藝春秋、2025年 ◾️佐藤航陽「行動する人に世界は優しい―自分の可能性を解き放つ言葉」新潮社、2025年 ◾️コ・ミョンファン「本は人生を生き抜く最強の武器である 問いから始める「自分を変える読書」のすすめ」ディスカヴァー・トゥエンティワン、2025年 ◾️リード・ホフマン「ChatGPTと語る未来 AIで人間の可能性を最大限に引き出す」日経BP、2023年
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